岡山県随一の絶品パスタを味わうならプロフーモ

イタリアンレストラン
Profumo(プロフーモ)

「パスタは気が抜けないところが面白く、いつも初心に還る」
料理人歴37年 藤原由佳

www.profumo2002.jp/

岡山県随一の絶品パスタを味わうならプロフーモ

www.profumo2002.jp/

イタリアンレストラン
Profumo(プロフーモ)

「パスタは気が抜けないところが面白く、いつも初心に還る」
料理人歴37年 藤原由佳

私は駅から小走りにそのお店を目指していた。風が冷たく鼻先が冷えるのがわかる。
取引先の社長に教えてもらった「食べ終わった瞬間から、おかわりしたくなるパスタ」
大通りから脇へ入った、華やかな光の届かない路地の奥に、ふわっと明かりが灯っている。
イタリアンレストラン「Profumo」(プロフーモ)

「いらっしゃいませ」
10席ほどの店内で、オーナーシェフがカウンター越しに気さくな雰囲気で迎えてくれる。
予約名を告げると、すでにテーブルセッティングされたひと席に通された。

…仕事、頑張ったなぁ
ここ最近文字通り忙殺されていて、ゆっくりとごはんを食べる余裕もない日々だった。
美味しいイタリアン、今日は自分への労りなのだ。
…ご褒美って言えないところがなんだかなぁ。毎日疲れてばっかりで、このまま1年が終わるなんて。

そんな私の前にアンティパストの盛り合わせが運ばれる。
「わぁ、おいしそう…」
男の子が丁寧に1つずつ料理の説明をしてくれたのに、私はもうすっかり上の空。その美しい一皿に手をつける。

「おいしいー!!」

堪らずこぼれた声にオーナーシェフが振り向き、思わず目が合った。
「あ、すみません。今日は小橋工務店の小橋社長に教えてもらって来たんです。ここのパスタを食べたら他のお店では食べられなくなるよって。」
「そうだったんですね~。ありがとうございます。」
慌てて名刺を差し出す。こればっかりは営業の職業病だ。早い時間だったのもあってまだ店内は私だけ。
藤原と名乗ったオーナーシェフはやはりとても温かく気さくだった。
親戚に料理人が多かった影響で料理の道に進んだこと。
中学生の頃から親戚の居酒屋を手伝っていたから料理歴はもう37年になること。
美味しいワインを取り揃えているけど、藤原さん本人はお酒はあまり得意じゃないこと。
大の甘党でカスタードクリームに目がないこと…
まるで久しぶりに再会して近況報告をし合うような空気感。
ふっと肩の力が抜けた感覚で、こわばっていたのは寒い冬のせいばかりではないと感じる。

生ハムとカポナータのサラダ仕立て、野菜のトマト煮…
そうやって会話を楽しみながらも、次々に運ばれる料理は1つ1つとても綺麗で、そして本当に美味しい。
…こうやって野菜をしっかり味わうのはいつぶりだろう。
食べたもので私たちの体は作られると言うけれど、本当に体が喜んでいると実感できる料理を口にできるのは幸せだ。
「次はパスタですよ。って、あれ?ワイン飲んでないんですか?」
そう、今夜は大好きなワインは我慢。早く仕事を切り上げたかわりに明日は早く出社しなければならない。
1杯だけなんて、私にとっては逆に辛い。そう答えた私に向かって満面のイジワルな笑顔で…
「うわー!残念ですねー!!ワインとパスタ、一緒に食べたら最っ高に美味しいのにー!!」
と同時に、オマール海老のトマトクリームパスタが目がテンになった私の前に供される。
…天国のような料理を作る悪魔め!
「ワインがなくても十分に美味しいです」
負け惜しみのような台詞に、悔しい気持ちと、でも間違いなく本音とが交ざり合う。
そんな私を見て藤原さんは楽しそうに笑いながら「ありがとうございます」と奥へ消えていく。
私は改めて、この贅沢で幸せ溢れるパスタに視線を戻すと、ゆっくりゆっくり味わった。

「…ふぅ」
小橋社長の言葉を思い出す。まさしく「食べ終わった瞬間からおかわりしたくなるパスタ」
…こんなに素晴らしいものを作るとき、何を想って何を考えているんだろう。
「藤原さん、話しかけてもいいですか?」
「いいですよ」
様子を窺いながら声をかけると、変わらず柔らかい空気をまとって振り返ってくれる。
「藤原さんにとって、料理って何ですか?」
「料理…ですか。」
ちょっと面食らったようにしながらも、
「僕は料理っていうか、人を喜ばすのが好きなんですよ。料理はその手段であって、相手の笑顔がモチベーションなんです。」
「出来た瞬間と、僕はいつもそこのカウンター越しにお見送りするんですけど、お客様の満足な顔を見るのが一番好きですね。」
確かに、そう話してくれる藤原さんはとても嬉しそうな顔をしている。
「じゃあ藤原さんって、家でも料理されるんです?ほら、職場と家とをハッキリ分ける料理人もいるでしょう?」
「僕はしますね~。プライベートでもイタリアン好きですもん。」
「っていうか常に考えてますよね、料理のこと。24時間365日。コンビニ行っても、こんな商品あるんだってネタ集めしてるというか。」
「貯金みたいな感じです。そこに閃きがあって足りないものを足していって新しいメニューになったり…
 でも、そこで完成しなくて途中になっても、それがまた貯金になるんですよね。それの繰り返しです。」
藤原さんはやっぱり楽しそうに話す。とにかく人を喜ばすことが好き、その想いが原動力。
「私、ずっと仕事が忙しくって。毎日疲れてるし、イライラするし…」
「僕だって仕事に追われてイライラするときもありますよ。ただ、そんなときにイライラするか?楽しむか?って考えたときに楽しもう!
 って考えるようにしてるんです。」
「店名のプロフーモってイタリア語で”良い香り”って意味なんですけど… ほら、なんかオーラのある人っているじゃないですか。
 僕ら学生のころにオーラのある人のことを”イイ香りがする人”って冗談っぽく言ってたんです。」
「そこから、良いオーラのある店にしたいなって願掛けのような感じでプロフーモにして。だから、自分がまず楽しんでいこうって思いますね。」
私は静かに息を吐くと、最高の笑顔で「このお店は間違いなく”プロフーモ”です」

美味しいものを食べて、また明日も頑張ろうと思う人は少なくない。
だけどここプロフーモの魅力はそれだけじゃない。訪れればわかる。
お会計を済ませコートを羽織りながら、ふと
「そういえば藤原さん、たくさんあるジャンルのなかで、どうしてイタリアンだったんですか?」
「えっ!? イタリアンの理由ですか?」
今日一番、挙動不審で歯切れが悪い。
「これ、言ったら絶対マイナスポイントになるやつですもん」
…聞かなきゃ帰れないじゃないか。
私の視線に観念した藤原さん。理由を聞いた私は、こらえきれず爆笑してしまう。
「いや、それも立派なモチベーションだと思いますよ。」
「ありがとうございます。まぁ、誤算もありますけどね」
ぼやく様子にまた笑ってしまう。
何度もお礼を言い、次こそは絶対にワインも楽しむと約束してプロフーモを後にする。

「面白い人だったなぁ…」
くしゃっと笑ったときに表れる目尻の皺。憎めない軽口。そして、乾麺を計るときの真剣な表情。
「あー!」
作っててパスタが1番楽しい。飽きない。
いつもフレッシュな気持ちで作らないと美味しく作れない。気が抜けないところが面白い。
そう話してた藤原さんに…
「こだわりの乾麺の理由、聞くの忘れてた」
曲がり角で振り返ってみる。来たときと同じように風は冷たい。だけど、今は明らかに違う私がいる。
…まぁ、いっか。今度行ったら教えてもらおうっと。
私はキュッとストールを巻きなおし、また一歩踏み出した。

イタリアンレストラン Profumo(プロフーモ)のホームページはこちらから

小橋のひとこと
とにかく、パスタが美味しい。
岡山で一番美味しいパスタ。
イカスミパスタは絶品です。